HOME > 五十崎藩天神村 > 小田川をめぐる町づくり
 
 
「小田川をめぐる町づくり」
亀岡 徹

愛媛県内子町(旧五十崎町)は、小田川沿いの盆地にて町の中ほどの川沿いに、そこはかとなく水田と家並みのある所なり。
この静かな町に、不逞の輩(やから)ありていたずらに野山を徘徊す。ハタマタ徒党を組みて、選挙と花札に打ち興ずる面々なり。面々の一人曰く、我五十崎藩は日本国より独立スベシと。
一同、「そうかい、それでは憲法を作るべや」と。

【大項目】
その1、美しい自然をつくる
その2、美しい人をつくる
その3、美しいネットワークをつくる

【細目】
1.人は信用せず愛すること
2.多数決は存在しない。おのれ一人の力で登ること
3.言葉でもって人が説得出来るなどと言う妄想をいだいてはならぬ
4.いのち、金、地位、名誉は舞台上の小道具にて演ずる劇がなければ元々必要なきものなり

 
(グリ石貼り付け護岸)施行前
この静かな町に異変起こル。
小田川沿いの榎林にチェンソーの音響きて、村人大いに驚く。
ハテ、「いかなる事態ぞ」
花札に打ち興じていた面々、耳をそばだてて身を乗り出すなり。
なんじゃろ、あれは。「とにかく行って見てこ」と一郎飛び出す。「おおごとじゃ」「おおごとじゃ」と一同わめき散らす。
「間に合わんが、とにかくチラシでも折り込んでみんべか」

しかして、
翌、朝刊の中に、かようなチラシがありました。

「告」
ことわりもなく、小田川の榎を切りせし者、死に到る病を得るであろう。
かつ、これを実施させし理事者は、次の戦に必ず敗れるであろう。

自由民主党
予言本部長 亀岡 徹

アララ、おかしい。チェンソーの音止まりて、春風の吹く。
「一郎、なにして遊ぶ」「そうよな、祭りでもやるかい」

はたまたチラシと相成り候。おおよその文面は、かようでありました。

「皆さん、聞いてください。
実は、かぐや姫はこの五十崎の地、小田川の榎林にてお生まれあそばされたことが、京都学士山岳会研究責任者、梅原猛氏の手により実証されたということです。これを受けて、内子町(旧五十崎町)人文科学研究所は、鋭意調査中であります。
しかし、時間がありません。とりあえず、八月一五日かぐや姫一〇一四年ぶりの帰郷式典を実施することと致しました。ふるってご参加下さい」

てな具合で、なぜか実施者は商工会青年部、後援は内子町(旧五十崎町)教育委員会となりました。
不思議なこともあるものです。かくして、今も榎林は蒼々と風に鳴っております。その時のかぐや姫のお言葉です。

 蒼き蒼き 光よ
 蒼き蒼き光りの里よ
 光りの粒は 里を埋めつくし
 限りなく
 やさしき水面に満ちている
 緑を離れて 久しき日々よ
 もう戻ろう
 限りなくやさしき緑へ・・・
 たたなずく青垣の民へ・・・

 
 (グリ石貼り付け護岸)施行後
 
そんなこんなの内に、護岸工事の始まることを風の便りに聞く。

その計画
コンクリートブロック造りにて、清潔に簡素に。
只、ひたすら清浄無垢の様子。
誠に有り難きものにござそうろう。一同感謝の念、沸き起こり落涙す。

とその日の日記に見ゆ。
不逞の輩、瞑想す。
何か良き知恵は無いものか、と。
「県は金が無いと言うしのう」
その時、輩の一人、ポツリとのたまう。
「自分らで川を作ろう」「やれるところまでやってみるか」
不逞の輩、村人と合議に及び
「各々、つけもの石を持ち寄るべや」と衆議一決。
八六〇〇個の漬物石護岸、麗々しく岸を飾りており。
この年、「小田川原っぱ石一ヶ条例」発布。

 

 
(空石積柳打ち込み護岸)
施行前

 
 (空石積柳打ち込み護岸)
施行後

 


(ランダムに石を置いた藪再生護岸)
施行前


(ランダムに石を置いた藪再生護岸)
工事風景


(ランダムに石を置いた藪再生護岸)
施行後

 

しかし、一同の悩みは尽きず。
「わずか一〇mの漬物石護岸ではのう」
「されば、旅に出よう。何か良い知恵が沸くかも知れんけん」
と一同、口笛を吹きつつ汽車の人となりにけり。
南からえぞ地まで河めぐりの旅、さらに続いてスイスまで。
「旅の交わる所、知恵の泉湧くと言う」
我が村の言い伝え通り、三人の賢者に迎合す。
その一人、修験者にて居合の達人、高知の産。
また一人は、仙人にて信州の産。
木の葉の研究では南方以上との評あり。
さらに一人は、虚無僧にて、なぜか明暗と書きしビトンのバックを持てり。輩の一人、なぜ明暗かと問えば、「未ダ識ラズ、明と暗の境ヲ」と答う。スイスの産なり。さらに答えて「人は、生まれながらにして人にあらず。人たらんと欲してより人となる」と。

四年に及ぶ旅に終わりを告げ五十崎の地に帰る。輩一同、イベントを画策す。
1.小田川原っぱ日曜市
2.小田川映画祭
3.小田川音楽祭
4.小田川祭り
5.小田川バードウォッチング
6.小田川植物昆虫調べ
7.国際水辺環境フォーラム
そして、小田川基本計画策定。旅の成果は、斯のごときものか。
「美しさに実体は無し、迷ってはナラヌ。生命体の多さを持って美の本体とナス」と。
近自然河川工法、基本理念確立。やれやれ長い一〇年でありました。

只今、四カ所のモデル護岸が出来あがっておりまする。
1.グリ石、貼り付け護岸
2.空石積、柳打ち込み護岸
3.ランダムに石を置いた藪再生護岸
4.表面は何もせず、地中に大きな石、又はコンクリートの塊を置いた原っぱ護岸

不逞の輩とは、山水河原者の様にて、元々一芸に秀でし者多し、己のなりわいを通して透かして見れば、近自然河川工法も身近に覚ゆとほざきたる。殊勝なり。各々、腕こき、目をこらして現場に見入る。

1つには 棚田を守る技者なり
2つには フロンの代替冷房の技者
3つには 木造建築の保存及び有効利用の技者
4つには 福祉と商店街と環境とタイムダラーの技者

いずれゆるゆると参ろう。

 
 (地中に大きな石、コンクリートの塊を置いた原っぱ護岸)
施行前

 
 (地中に大きな石、コンクリートの塊を置いた原っぱ護岸)
施行中

 
<<Back>>

   
  ページの上部へ移動