HOME > いつも白衣の人

 
 

 
■子供の頃から酒造りをしてみようと考えていましたか?
私で9代目になりますが、別に深く考えてはいませんでしたね。ただ、子供の頃から蔵の中で遊んでいましたから、酒造りに対する抵抗というのはなかったです。


■酒造りを始めた頃は、どういったお酒を造ろうと考えていましたか?

いやぁ、別に考えてなかったです(笑)。学校を出てから3年ほど酒問屋で働いていて、帰ってきた時も特に目標とかはありませんでした。ただ、私が師と仰ぐある人と知り合ってから、少しずつ変わってきました。小さな蔵なんだから何かに、特化していく必要があるんだと。それに、企業は地域の道具なんだから、いかにすれば地域の役に立てるかを考えるようになりました。それが企業の存在する意味なんだと。


■ある人というのは?

20年ほど前に川の運動を通じて知り合った、湯布院の旅館のご主人である中谷健太郎さんです。ご存じかもしれませんが、ゆふいん音楽祭や湯布院映画祭を企画されたり、自然を守る活動などをされている凄い人です。私は中谷さんと話をすることによって、自分の中で何かが変わっていくような気がしました。本当に何が大切なのかを教えられたんですね。たぶん、酒造りにだけこだわってしまっていたら、今の亀岡酒造はなかったかもしれません。


■何に特化しようとしたのですか?

原料に特化し、造り方に特化すること。米造り・酒造りのひとつひとつを深く掘り下げ、狭い地域に特化することによって、世界に通用する価値を見いだし、それを発信していきたいと考えました。酒が素晴らしいのは米が素晴らしく、米が素晴らしいのは水であり地域が素晴らしいのだと。


■亀岡酒造のお酒の特徴は?

大きな特徴としては、純米酒と低温長期熟成ですね。一般的には純米酒以外のお酒(アルコールを加えたもの)も作るのですが、うちでは純米酒以外は造りません。それと、20年くらい前から取り組み始めた低温長期熟成は、まさに大手では真似の出来ない特徴でしょう。加熱殺菌せず、生のまま何年も熟成させますから、非常に危険度も高く、失敗するとタンクごとダメになってしまうこともあるんです。でも、低い温度で、長い時間かけてゆっくりゆっくりと熟成させると、味の幅がとても広がるんですよ。


■酒造りにおいて最も大切なのは?

それはもう人です。何をおいてもまず人です。いい酒を造ろうとする気持ち、自分を誤魔化さないという気持ちを持った人が一番大切です。


■その大切な人を育てるために何かされてますか?

以前営業担当者に、絵を習ってみろと言ってたんです。酒のことだけではダメで、絵のことも音楽のことも焼き物のことも、いろいろ知るべきだと。でもこれが腰が重くてなかなか始めないので(笑)、それならと絵の先生に来てもらうことにしたんです。それが2年ほどまえで、今も月2回来てもらって、私も含め有志が教えてもらっています。


■川の運動など、自然保護活動にも力を入れられているとか?

いくら生活が進歩しても、ほどほどには自然が保たれていることが必要です。自然は次の世代からの借り物なんです。ですから、自然は自然のままの姿で次の世代に返さなくちゃならないんです。


■商品名などに、よく宮沢賢治が登場してきますが?

私は宮沢賢治を師と仰いでいます。小学校4年生の時に「どんぐりと山ねこ」を読んでからずっとです。彼は今世紀最大の作家です。普遍的な価値を追い求めるリアリストであり、それを農村という局部に限定して活躍された・・・。まさに大地に立っている感じです。10年モノには「銀河鉄道」とそのものズバリの名前をつけていますが、14年モノは、銀河鉄道の旅の途中に紙風船が浮かんでいた・・・というイメージから「銀河の紙ふうせん」と名付けました。


■このホームページをご覧の方々に何かメッセージがあれば

素敵な地域を作ろうとしていますので、ご支援いただければ幸いです。


■酒造りではなくて、地域づくりなんですか?

ははは・・・。酒でなくても、豆腐でもよかったんです(笑)。たまたまそこに酒があっただけ。素敵な地域をつくりたいのです。


■いつも白衣を着ているのですか?

別に白衣でなくてもいいんですよ、汚れよけですから。白いと汚れが目立つからいいのと、白衣なら「白衣」と注文すればあれこれ種類もないから面倒でないから(笑)。私は普段は白衣、外出に紺のスーツだけだから、2着もあればこと足りるんです(笑)。

 

   
  ページの上部へ移動